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捜査は、裁判において、適正な事実を認定し、かつ適正な量刑を得ることが最終目標であり、そのためには、まず被疑者を取り調べて真実を供述させることが事件の真相を解明する上で重要である。そして、その被疑者の供述を証拠とするためには供述調書を作成して、裁判の場に提出しなければならない。
供述調書は、証拠となるものであり、裁判官に読んでもらい、納得してもらえるものでなければ意味がないのであり、供述調書の作成にあたっては、取調官において犯罪の構成要件を正確に把握した上、被疑者の供述をありのままに録取するとともに、犯行の動機、犯意、犯行状況など、それぞれの構成要件に即した要点を的確に押さえた供述調書を作成することが必要である。
本書は、刑法犯の犯罪捜査に当たる第一線の捜査官の実務の参考になるように、事案の概要と該当する法条、取り調べに当たって留意すべき事項について記述し、さらに具体的な供述調書の書き方について解説したものである。
【本書の特色】
① 各事案毎に、「事案の概要(被疑事実)」、「取り調べるべき事項」をもうけて解説してある
ので、供述調書を作成するために必要な「犯罪の構成要件」と「捜査のポイント」が非常に
わかりやすい。
② 犯罪の構成要件に即したわかりやすい供述調書を作成するために、「供述調書」と
「解説部分」は同じページの中で上下2段組のレイアウトになっている。
他の解説書には無いわかりやすさ。
③ 上段の供述調書の重要な部分には注の番号が振ってあり、同じページの下段部分の
【注意事項】で解説を行っているので、供述調書を作成するうえで、何が重要なのか、
すぐに理解できる。
総 論 供述調書作成上の留意点
第1項 作成の目的
1 裁判官に理解してもらう
2 有利不利を問わず、ありのままに録取して信用性を高める
第2項 良い調書とは
第3項 その他の注意点
1 ワープロ調書について
2 供述者の特性を考慮した調書について
3 主観面の録取の必要性について
4 供述調書の中には、できる限り情状を織り込む必要がある
5 否認から自白に転じたり、供述内容に変遷があった場合、なぜ供述が変わったか、
必ずその理由を誰もが納得するように説明させて録取する必要がある
第1章 公務執行妨害
(職務質問の警察官に暴行)
1 事案の概要
2 取調べるべき事項
①相手が公務員であり、職務の執行中であることの認識
②暴行・脅迫
3 供述調書の書き方
第2章 住居侵入
(前注・解説)
① 客体
② 故なく侵入
③ 故意のあることについての認識
④ 侵入方法・不退去の具体的状況の特定
第1項 住居侵入
(マンションに野宿目的で侵入)
1 事案の概要
2 取調べるべき事項
3 供述調書の書き方
第2項 住居侵入
(わいせつ目的で女性の住む隣家に侵入)
1 事案の概要
2 取調べるべき事項
3 供述調書の書き方
第3章 文書偽造
第1項 私文書偽造・同行使
(預金払戻請求書の偽造等)
1 事案の概要
2 取調べるべき事項
3 供述調書の書き方
第2項 私文書偽造・同行使
(交通切符供述書部分の偽造等)
1 事案の概要
2 取調べるべき事項
3 供述調書の書き方
第4章 強制わいせつ・強姦
1 事案の概要
2 取調べるべき事項
3 供述調書の書き方
第5章 傷害
(電車のホームで鉄道会社の職員へ傷害を負わせる)
1 事案の概要
2 取調べるべき事項
3 供述調書の書き方方
第6章 窃 盗
第1項 窃盗
(侵入盗)
1 事案の概要
2 取調べるべき事項
3 供述調書の書き方
第2項 窃盗
(万引き)
1 事案の概要
2 取調べるべき事項
3 供述調書の書き方
第7章 強盗
第1項 強盗
(コンビニ強盗)
1 事案の概要
2 取調べるべき事項
3 供述調書の書き方
第2項 強盗
(夕クシー強盗)
1 事案の概要
2 取調べるべき事項
3 供述調書の書き方
第8章 詐欺
(前注)
1 解説
2 取調べるべき事項(詐欺全般)
第1項 詐欺
(無銭飲食)
1 事案の概要
2 取調べるべき事項
3 供述調書の書き方
第2項 詐欺
(寸借詐欺)
1 事案の概要
2 取調べるべき事項
3 供述調書の書き方
第3項 詐欺
(カード詐欺)
1 事案の概要
2 取調べるべき事項
3 供述調書の書き方
第9章 横領
(業務上横領)
1 事案の概要
2 取調べるべき事項
3 供述調書の書き方
4 供述調書の書き方−その①
5 供述調書の書き方−その②
第10章 恐喝
第1項 恐喝
(暴力団の名をかたる)
1 事案の概要
2 取調べるべき事項
3 供述調書の書き方
第2項 恐喝
(路上恐喝)
1 事案の概要
2 取調べるべき事項
3 供述調書の書き方
第11章 盗品等に関する罪
1 事案の概要
2 取調べるべき事項
3 供述調書の書き方
第12章 器物損壊
(食堂の看板を蹴って壊す)
1 事案の概要
2 取調べるべき事項
3 供述調書の書き方