9訂版 刑法概説




 −実務家のための−
[10訂版]刑 法 概 説
令和4年・5年刑法改正に対応

元同志社大学法学部教授
元名古屋高等検察庁検事長
弁護士           河村 博 著
 
A−5判・全719頁 本体価格3,700円+税
ISBN 978-4-86088-030-9 C3032

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  1 総論
  2 各論

 平成30年8月の改訂後、令和4年法律第67号による侮辱罪の法定刑引上げ(未施行の拘禁刑創設等は条文のみ参考反映)、さらに令和5年法律第28号、第66号による刑法、刑訴法改正、同年法律第67号による「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の撮影に係る電磁的記録の消去等に関する法律」の制定などが行われるなどした。また裁判例などにも実務上参考になると思われるものが公刊物に掲載されるなどしている。
 今回の改訂にあたっては、これらの法改正などを盛り込むとともに主要な裁判例等についてもできるだけ触れるように心がけ、内容を最新のものにした。前回改訂同様、紙幅の許す限り、関連法令等の条文は注に掲記し、さらに未施行の改正条文も付記するなどして実務家等の利用の便宜を図ることとした。

強制性交等罪、準強制性交等罪、監護者わいせつ罪、監護者性交等罪、強盗・強制性交等罪、強盗・強制性交等致死罪などの法改正に対応した他、レイアウトを横書きに変更。
刑法以外の関連法令についても条文を掲載しながら解説し、実務に直結した最新の実例と判例を中心とした解説を行った。

総論・各論(1冊にまとまって大変便利)
最新判例(令和5年10月まで1300件以上掲載)
実務に即した解説(わかりやすい実例解説)
事項索引(重要項目が検索しやすく、辞書のように使える)

【本書の特色】
① 令和4年・5年の法改正に対応。侮辱罪の法定刑引上げ、不同意わいせつ罪、不同意性交等罪、面会要求罪、強盗・不同意性交等罪、性的姿態撮影等処罰法などについて解説するとともに未施行の拘禁刑の創設等についても条文に参考反映させており、施行の前後に対応。
② 前回の改訂でレイアウトを横組に変更したことで、解説中で触れられた関連法令等の条文を全て注に掲記し、六法を参照することなく読者が条文を確認できる。
③ 従来とおり刑法の「総論」と「各論」を一冊にまとめて解説。「総論」と「各論」の解説は、重要な関連項目や重要判例が参照頁で紐付けされているので「総論」と「各論」が立体的に理解出来る。
④ 各論は、実務に役立つよう「実例」と「判例」中心の解説。解説の全ての参照箇所に参照頁を掲載しているので、他罪との関係(例:公務執行妨害罪と威力業務妨害罪との関係等)がわかりやすい。
⑤ 「判例索引」を巻末に掲載。令和5年10月まで1300件以上の判例を利用した実務家のための解説。
⑥ 巻末の「事項索引」は詳細に作られており、重要項目が検索しやすく、試験対策等で辞書のように使える。
⑦ 「事項索引」では、平成7年の口語化で用語が新しくなったものについて【旧】マークを付けて旧用語を表示しているので旧用語の意味がすぐわかる。旧条文の用語を知らない新しい世代の読者が古い判例を調べる時に役立つ。
⑧ 刑法以外の関連特別法についてもできるだけ解説するとともに根拠となる条文を本書に掲載。
 例:性的姿態撮影等処罰法・私事性的画像記録提供等防止法・刑事収容施設法・組織的犯罪処罰法・通信傍受法・児童買春等処罰法・少年法・不正アクセス行為の禁止等に関する法律・麻薬特例法・暴力行為等処罰ニ関スル法律・軽犯罪法・警職法・信書便法・仲裁法・破産法・民事再生法・民事執行法・特定商取引に関する法律、国税犯則取締法、関税法、労基法、道路交通法等その他多数。
⑨ 解説中の「難解難読用語」には、できるだけ「読みカナ」を付けた。

【本書の内容】

〈総 論〉

第1章 序 説
  第1項 犯罪と刑法 第2項 刑法理論 第3項 罪刑法定主義 第4項 刑法の適用範囲
第2章 犯 罪
  第1項 意義 第2項 成立要件 第3項 処罰条件と処罰阻却事由
第3章 構成要件
  第1項 構成要件 第2項 構成要件要素 第3項 行為の主体 第4項 行為の客体 
  第5項 行為の結果 第6項 行為(実行行為) 第7項 因果関係
第4章 違法性
  第1項 違法性 第2項 法令又は正当業務による行為 第3項 正当防衛 第4項 緊急避難 第5項 被害者の承諾 第6項 推定的承諾 第7項 自救行為(自力救済) 第8項 労働争議行為 第9項 安楽死 第10項 可罰的違法性 第11項 社会的相当行為
第5章 責 任
  第1項 責任の意義 第2項 責任能力 第3項 故意 第4項 事実の錯誤 
  第5項 違法性の意識 第6項 法律の錯誤 第7項 過失 第8項 期待可能性
第6章 行為の段階
  第1項 陰謀(共謀)・予備・未遂・既遂 第2項 未遂犯 第3項 中止犯 
  第4項 その他
第7章 共 犯
  第1項 共犯の概念 第2項 共同正犯 第3項 教唆犯 第4項 幇助犯(従犯) 
  第5項 共犯と身分 第6項 共犯の錯誤
第8章 罪 数
  第1項 犯罪の個数 第2項 一罪の範囲 第3項 併合罪 第4項 科刑上一罪 
  第5項 法条競合
第9章 刑 罰(クリックしてください。)
  第1項 刑罰の種類 第2項 刑罰の適用 第3項 刑罰の執行
 
 〈各 論〉
 
 第一編 個人的法益に対する罪

  第一部 生命・身体に対する罪
第1章 殺人の罪
  第1項 殺人罪 第2項 尊属殺人罪 第3項 殺人予備罪 第4項 自殺教唆罪・自殺幇助罪・嘱託殺罪・承諾殺罪
第2章 傷害の罪
  第1項 傷害罪 第2項 傷害致死罪 第3項 現場助勢罪 第4項 同時傷害罪 第5項 暴行罪 第6項 危険運転致死傷罪 第7項 凶器準備集合罪・凶器準備結集罪
第3章 過失傷害の罪
  第1項 過失傷害罪 第2項 過失致死罪 第3項 業務上過失傷害罪・業務上過失致死罪・重過失傷害罪・重過失致死罪・自動車運転過失致死傷罪
第4章 堕胎の罪
  第1項 堕胎罪 第2項 同意堕胎罪・同意堕胎致死(傷)罪 第3項 業務上堕胎罪・業務上堕胎致死(傷)罪 第4項 不同意堕胎罪 第5項 不同意堕胎致死(傷)罪
第5章 遺棄の罪
  第1項 遺棄罪 第2項 保護責任者遺棄罪 第3項 遺棄致死(傷)罪・保護責任者遺棄致死(傷)罪

  第二部 自由及び生活の平穏を害する罪
第1章 逮捕監禁の罪
  第1項 逮捕罪・監禁罪 第2項 逮捕致死(傷)罪・監禁致死(傷)罪
第2章 脅迫の罪
  第1項 脅迫罪 第2項 強要罪
第3章 略取及び誘拐の罪
  第1項 総説 第2項 拐取罪(略取罪・誘拐罪) 第3項 営利目的拐取罪・わいせつ目的拐取罪・結婚目的拐取罪等 第4項 身の代金目的拐取罪・拐取者身の代金取得罪・拐取者身の代金要求罪 第5項 所在国外移送目的拐取罪・人身売買罪等 第6項 営利拐取等幇助目的被拐取者収受罪・営利目的被拐取者収受罪・収受者身の代金取得罪等 第7項 未遂 第8項 解放減軽 第9項 身の代金拐取予備罪 
  第10項 親告罪
第4章 住居を侵す罪
  第1項 総説 第2項 住居侵入罪
第5章 秘密を侵す罪
  第1項 信書開封罪 第2項 秘密漏示罪

  第三部 名誉及び信用に対する罪
第1章 名誉に対する罪
  第1項 名誉毀損罪・死者名誉毀損罪 第2項 公共的事実に関する名誉毀損(真実の証明による不処罰) 第3項 侮辱罪
第2章 信用及び業務に対する罪
  第1項 信用毀損罪・業務妨害罪 第2項 威力業務妨害罪 第3項 電子計算機損壊等業務妨害罪

  第四部 財産に対する罪
第1章 財産犯総説
  第1項 財産犯 第2項 各罪の特色 第3項 各罪の類別 第4項 財物 第5項 財産上の利益
第2章 窃盗の罪
  第1項 窃盗罪 第2項 不動産侵奪罪
第3章 強盗の罪
  第1項 強盗罪 第2項 強盗予備罪 第3項 事後強盗罪(「準強盗罪」) 第4項 昏酔強盗罪 第5項 強盗致傷罪・強盗致死罪・強盗殺人罪 第6項 強盗・不同意性交等罪、強盗・不同意性交等致死罪
第4章 詐欺及び恐喝の罪
  第1項 詐 欺 罪 第2項 電子計算機使用詐欺罪 第3項 準詐欺罪 第4項 恐喝罪
第5章 横領及び背任の罪
  第1項 総説 第2項 横領罪 第3項 業務上横領罪 第4項 遺失物横領罪 第5項 背任罪
第6章 盗品等に関する罪
  第1項 賍(ぞう)物(ぶつ)(贓物) 第2項 盗品等無償譲受け罪・盗品等運搬罪・盗品等保管罪・盗品等有償譲受け罪・盗品等処分あっせん罪 第3項 親族間の犯罪の特例 第4項 本犯の共犯と本罪との関係
第7章 毀棄及び隠匿の罪
  第1項 公用文書毀棄罪・公電磁的記録毀棄罪 第2項 私用文書毀棄罪・私電磁的記録毀棄罪 第3項 建造物等損壊罪・建造物等損壊致死罪・建造物等損壊致傷罪 第4項 器物損壊罪(「毀棄罪」) 第5項 境界毀損罪 第6項 信書隠匿罪

   第二編 社会的法益に対する罪

  第一部 公共の平穏を害する罪
第1章 騒乱の罪
  第1項 騒乱首謀罪・騒乱指揮罪・騒乱助勢罪・騒乱付和随行罪 第2項 多衆不解散首謀罪・多衆不解散罪
第2章 放火及び失火の罪
  第1項 現住建造物等放火罪 第2項 非現住建造物等放火罪・自己所有非現住建造物等放火罪 第3項 建造物等以外放火罪・自己所有建造物等以外放火罪 第4項 建造物等延焼罪・建造物等以外延焼罪 第5項 消火妨害罪 第6項 建造物等失火罪・自己所有非現住建造物等失火罪 第7項 激発物破裂罪・過失激発物破裂罪 第8項 業務上失火(業務上過失激発物破裂)罪・重過失失火(重過失激発物破裂)罪 第9項 ガス等漏出罪・ガス等漏出致死罪・ガス等漏出致傷罪
第3章 出水及び水利に関する罪
  第1項 現住建造物等浸害罪 第2項 建造物等以外浸害罪 第3項 水防妨害罪 第4項 過失建造物等浸害罪・過失建造物等以外浸害罪 第5項 水利妨害罪
第4章 往来を妨害する罪
  第1項 往来妨害罪・往来妨害致死罪・往来妨害致傷罪 第2項 電汽車往来危険罪・艦船往来危険罪 第3項 電汽車転覆罪・艦船転覆罪・電汽車転覆致死罪等 第4項 電汽車往来危険転覆罪・艦船往来危険転覆罪等 第5項 過失往来妨害罪・業務上過失往来妨害罪
第5章 あへん煙に関する罪
  第1項 あへん煙輸入罪等 第2項 あへん煙吸食器具輸入罪等 第3項 税関職員あへん煙等輸入罪 第4項 あへん煙吸食罪・あへん煙吸食場所提供罪 第5項 あへん煙等所持罪
第6章 飲料水に関する罪
  第1項 浄水汚染罪 第2項 水道汚染罪 第3項 浄水毒物混入罪 第4項 浄水汚染致死罪・水道汚染致死罪等 第5項 水道毒物混入罪・水道毒物混入致死罪 第6項 水道損壊罪

  第二部 公共の信用を害する罪
第1章 通貨偽造の罪
  第1項 通貨偽造罪・通貨変造罪・偽造通貨行使罪等 第2項 外国通貨偽造罪・外国通貨変造罪・偽造外国通貨行使罪等 第3項 偽(変)造通貨収得罪 第4項 偽(変)造通貨収得後知情行使罪等 第5項 通貨偽(変)造準備罪
第2章 文書偽造の罪
  第1項 保護法益 第2項 文書の意義 第3項 偽造 第4項 変造 第5項 行使 第6項 電磁的記録 第7項 詔書偽(変)造罪 第8項 有印公文書偽(変)造罪・無印公文書偽(変)造罪 第9項 虚偽有印公文書作成罪・虚偽無印公文書作成罪 第10項 公正証書原本不実記載罪・免状等不実記載罪・電磁的公正証書原本不実記録罪 第11項 偽造有印公文書行使罪・不実記載公正証書原本行使罪等 第12項 有印私文書偽造(変造)罪・無印私文書偽造(変造)罪 第13項 虚偽診断書等作成罪 第14項 偽造有印私文書行使罪・虚偽診断書等行使罪等 第15項 私(公)電磁的記録不正作出罪・不正作出私(公)電磁的記録供用罪等
第3章 有価証券偽造の罪
  第1項 総説 第2項 有価証券偽造罪・有価証券変造罪・有価証券虚偽記入罪 第3項 偽造有価証券行使罪・変造有価証券行使罪・虚偽記入有価証券行使罪 第4項 支払用カード電磁的記録不正作出罪等 第5項 不正電磁的記録カード所持罪 第6項 支払用カード電磁的記録不正作出準備罪 第7項 未 遂 罪
第4章 印章偽造の罪
  第1項 総説 第2項 御璽等偽造罪・御璽等不正使用罪・偽造御璽等使用罪 第3項 公印偽造罪・公印不正使用罪・偽造公印使用罪 第4項 公記号偽造罪・公記号不正使用罪・偽造公記号使用罪 第5項 私印偽造罪・私印不正使用罪・偽造私印使用罪
第4章の2 不正指令電磁的記録に関する罪
  第1項 不正指令電磁的記録作成罪等 第2項 不正指令電磁的記録取得罪等

  第三部 風俗を害する罪
第1章 わいせつ、不同意性交等及び重婚の罪
  第1項 総説 第2項 公然わいせつ罪 第3項 わいせつ文書等頒布罪・同販売罪・同陳列罪・同所持罪 第4項 不同意わいせつ罪 第5項 不同意性交等罪(クリックしてください。) 第6項 準強制わいせつ罪・準強制性交等罪(令和5年改正により削除) 第7項 集団強姦等罪(平成29年改正により削除) 第8項 監護者わいせつ罪、監護者性交等罪 第9項 不同意わいせつ等致死(傷)罪 第10項 16歳未満の者に対する面会要求等 第11項 淫行勧誘罪 第12項 重 婚 罪
第2章 賭博及び富くじに関する罪
  第1項 総説 第2項 賭博罪 第3項 常習賭博罪・賭博開張等図利罪(賭博開張図利罪・博徒結合図利罪) 第4項 富くじ発売罪・同取次罪・同授受罪
第3章 礼拝所及び墳墓に関する罪
  第1項 礼拝所不敬罪・説教等妨害罪 第2項 墳墓発掘罪 第3項 死体遺棄罪・遺骨等遺棄罪・棺内蔵置物遺棄罪等 第4項 墳墓発掘死体遺棄罪・墳墓発掘遺骨等遺棄罪・墳墓発掘棺内蔵置物遺棄罪等 第5項 変死者密葬罪

  第三編 国家的法益に対する罪

第1章 公務の執行を妨害する罪
  第1項 公務執行妨害罪・職務強要罪 第2項 封印破棄罪 第3項 強制執行妨害目的財産損壊等罪 第4項 強制執行行為妨害等罪 第5項 強制執行関係売却妨害罪 第6項 加重封印等破棄罪等 第7項 公契約関係競売等妨害罪
第2章 逃走の罪
  第1項 単純逃走罪 第2項 加重逃走罪 第3項 被拘禁者奪取罪 第4項 逃走援助罪・逃走援助暴行罪(「逃走幇助罪」等) 第5項 看守者逃走援助罪(「看守者逃走幇助罪」) 
第3章 犯人蔵匿証拠隠滅の罪
  第1項 犯人蔵匿罪・犯人隠避罪 第2項 証拠隠滅罪 第3項 証人威迫罪
第4章 偽証の罪
  第1項 偽証罪 第2項 虚偽鑑定罪・虚偽通訳罪・虚偽翻訳罪
第5章 虚偽告訴の罪
  第1項 虚偽告訴罪
第6章 汚職の罪
  第1項 公務員職権濫用罪 第2項 特別公務員職権濫用罪 第3項 特別公務員暴行陵虐罪 第4項 特別公務員職権濫用致死(傷)罪・特別公務員暴行陵虐致死(傷)罪 第5項 単純収賄罪・受託収賄罪・事前収賄罪 第6項 第三者供賄罪 第7項 加重収賄罪・事後収賄罪 第8項 あっせん収賄罪 第9項 贈賄罪・あっせん贈賄罪 第10項 賄賂の没収と追徴
 
判例索引
 
事項索引
  

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