[4訂版] 軽犯罪法




[4訂版]軽犯罪法 −実務に役立つ判例百選−

弁護士 日野正晴著
元金融庁長官
元名古屋高等検察庁検事庁
元仙台高等検察庁検事庁
元法務総合研究所所長

A−5判・全345頁 本体価格2,300円+税
ISBN 978-4−86088−016−3



[判例概要 犯罪事実 判例解説 判例索引]

 軽犯罪法は、我々の日常生活の卑近な道徳律に違背する比較的軽微な犯罪と、これに対する刑罰規定した小さな刑法典である。わずか4か条の法律であるが、1条に34項目の犯罪構成要件が列記されている。
34項目の構成要件の中でも、判例にまでなっているのはその一部であり、判例になっている構成要件でも、その判例の数は、かなり多寡の差がある。これは、検挙される数にもよるが、法律自体の中で争われることの多いのは、どの構成要件であるかを如実に物語っているものである。
したがって、本書を一読すればこの法律を適用する場合にどこが一番問題となるのか容易に知ることができる。
 全訂版を上梓してから、10年以上を経過した。本書が取り扱っている対象の軽犯罪法それ自体には変化がないが、この10年間に新たな判例が多数生まれてきているので、これらを加えて4訂版を出版すこととなった。時代は変化し、いまや判例も横書きの時代となっていることに歩調を合わせ、本書もこの機会に横書きに改めた。



ナイフ状の器具の携帯
近隣に迷惑をかける騒音
ビラ貼り
官職の詐称
入ることを禁じた場所
相当の注意をしないでたき火
ビデオの盗撮
猫の死骸と業務妨害
落書きと器物損壊
住居侵入
常習累犯窃盗
身辺に群がって立ち退こうとせず 他



【本書の内容】
事例 №1 (1号)
   管理人の管理下にある空別荘は軽犯罪法1条1号にいう『看守していない   邸宅、建物』に当たるか
事例 №2 (2号)
   尖端部を尖らせた長さ約1.5メートル大の竹棒を、その尖端部分約1尺位を 新聞紙で包み、尖っていることを隠して正当な理由なく携帯することは、軽犯罪 法1条2号に該当するか
事例 №3 (2号)
   軽犯罪法違反の事実で現行犯逮捕がなされ同一事実について
  兇器準備集合罪にあたるとして勾留請求がなされた事案について、
  軽犯罪法違反の事実の嫌疑がみとめられないとき勾留請求はみとめられるか
事例 №4 (2号)
   軽犯罪法1条2号にいう『正当な理由』及び『隠して』はどのような意味か
事例 №5 (2号)
   長さ3.90メートルの鉄パイプは、軽犯罪法1条2号の『人の生命を害し、
   又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具』に当たるか
事例 №6 (2号)
   新聞紙で巻いて包装した多数の鉄パイプを手提紙袋に入れて運ぶ際、
   若干の鉄パイプが紙袋の口から多少はみ出していても、
   軽犯罪法1条2号にいう『隠して』携帯した場合に当たるか
事例 №7 (2号)
   軽犯罪法1条2号所定の『人の身体に重大な害を加えるのに
  使用されるような器具』に該当するとした事例
事例 №8 (3号)
   自動車内に積み置いたとび口の隠し携帯と、同車内のセカンドバッグに
   入れた覚せい剤の所持とが、併合罪になるとされた事例
事例 №9 (3号)
   軽犯罪法1条3号にいう『携帯』の意義
事例 №10 (3号)
   常習累犯窃盗罪と軽犯罪法1条3号(侵入具携帯)の罪との罪数関係
事例 №11 (3号)
   常習累犯窃盗罪と軽犯罪法1条3号(侵入具携帯)の罪との罪数関係
事例 №12 (3号)
   常習累犯窃盗罪と軽犯罪法1条3号(侵入具携帯)の罪との罪数関係
事例 №13 (3号)
   軽犯罪法1条3号(侵入具携帯)の罪と住居侵入罪との罪数関係
  軽犯罪法1条3号(侵入具携帯)の罪と常習累犯窃盗罪との罪数関係
事例 №14 (3号)
   常習累犯窃盗の罪と別の機会に窃盗目的で犯された軽犯罪法1条3号
  (侵入具携帯)の罪との罪数関係
事例 №15 (9号)
   軽犯罪法1条9号の『相当の注意をしないで建物の付近で火をたき』に当たるのは
   どういう場合か
事例 №16 (9号)
   住宅地に隣接する枯れ草で覆われた畑跡地内において、消火用の水等を準備することなく、
   伐採して集積しておいた木に点火して火をたいた行為が、「相当の注意をしないで」
   火をたいたことに当たるとされた事例
事例 №17 (14号)
   警察官の再三の注意は軽犯罪法1条14号にいわゆる公務員の制止に当たるか
事例 №18 (14号)
   軽犯罪法1条14号『ラジオなどの音を異常に大きく出して静穏を害し近隣に迷惑をかけた者』
   に該当する一事例
事例 №19 (15号)
   警察官でないのに警察官だというように申し向けるのは、それが一時の座興程度の
   ものでなく、相手方が知らないのに乗じてなされたものと認められる以上、
   飲食代金を支払わなかったり、相手方に迷惑をかけた事実がないとしても、
   道義的非難に値しないものとはいえず、違法性のないものとすることもできず、
   軽犯罪法1条15号の官名詐称の罪の成立を妨げない
事例 №20 (15号)
   鬼頭元判事補ニセ電話事件第一審判決


事例 №21 (15号)
  軽犯罪法1条15号に該当する事実を認め、拘留29日に処した原判決に対する控訴が
  棄却された事例
事例 №22 (15号)
  軽犯罪法1条15号にいう官職の詐称にあたるとされた事例
事例 №23 (19号)
  故意に死体を放棄する行為は、軽犯罪法1条19号に当たるか
事例 №24 (22号)
  軽犯罪法1条22号にいわゆる『こじき』とは如何なる意義を有するか
事例 №25 (23号)
  住居侵入罪と軽犯罪法1条23号の罪との罪数関係
事例 №26 (23号)
  8ミリ・ビデオカメラを用いる盗み撮り行為は、1条23号に該当する
事例 №27 (28号)
  軽犯罪法1条28号にいわゆる「その身辺に群がって立ち退こうとせず」の意義
事例 №28 (28号)
  軽犯罪法1条28号後段に該当する事例
事例 №29 (28号)
  組合活動として行なった相手方の動静探索目的の尾行行為につき、
  違法性が阻却されるとして軽犯罪法1条28号違反罪の成立を否定した事例
事例 №30 (31号)
  甲は、乙が製材業務を営むため甲方付近の山林に製材機を搬入しようとしていたのに対し、
  乙が約束に従いそれまでに同山林で製材した鋸屑を片付けていないため甲方の
  飲料用水に流出するおそれがあるとしてこれを詰問すべく
  「製材機はここからは入れさせぬ、入るなら他から入れ、入っても仕事はさせぬ」
  などと乙を困惑させるような不当のことを申し向け、乙をして右製材機の搬入を
  中止させたが、客観的に見ていまだ甲が乙の自由意思を制圧するに足る威力を
  用いたとは認め難い場合には、刑法234条の業務妨害罪には該当しないけれども
  軽犯罪法1条31号違反罪が成立する
事例 №31 (31号)
  軽犯罪法1条31号は犯罪の構成要件を明らかにしていないか
事例 №32 (31号)
  偽計と悪戯の区別
事例 №33 (31号・33号)
  中華人民共和国国旗様の旗を引き降した事実につき軽犯罪法違反を認めた事例
事例 №34 (31号)
  他人名義で虚構の注文をして、徒労の物品配達を行わせた行為につき、
  偽計による業務妨害の成立を認め、軽犯罪法
  1条31号に・たるとの主張を排斥した事例
事例 №35 (31号)
  たび重なる無言電話について、偽計による業務妨害罪が成立するとされた事例
事例 №36 (31号)
  『モナ・リザ』の展示場内でこれに向けてスプレー塗料を噴出させた行為が
  軽犯罪法1条31号にあたるとした事例  
事例 №37 (31号)
  地下歩道内の非常ベルをいたずらで押した行為につき、軽犯罪法1条16号でなく、
  同法1条31号に当たるとされた事例
事例 №38 (31号)
  弁護士の業務用鞄の奪取隠匿行為が刑法234条にいう「威力ヲ用ヒ」た場合に
  あたるとされた事例
事例 №39 (31号)
  猫の死骸を被害者の机の引き出しに入れておき同人に発見させるなどした行為が、
  軽犯罪法1条31号ではなく、刑法234条の「威力」を用いた場合に当たるとされた事例
事例 №40 (32号)
  建物の敷地構内として門塀を囲らし、外部との交通を制限し、
  守衛警備員等を置いて外来者がみだりに出入りすることを
  禁止していた場所へ侵入した行為は、刑法130条の罪を構成し、
  軽犯罪法1条32号に該当しない
事例 №41 (32号)
  厚生大臣の許可を受けないで、アイスクリームを販売する目的で皇居外苑に立ち入ることは、
  軽犯罪法1条32号にいわゆる
 『入ることを禁じた場所に正当な理由がなく入った』罪を構成する
事例 №42 (32号)
  国民公園管理規則3条の許可なく物品販売の目的で国民公園である皇居外苑に立入る
  所為は軽犯罪法1条32号にあたるか
事例 №43 (32号)
  軽犯罪法1条32号前段の『入ることを禁じた場所に正当な理由がなくて入った』
  罪の成立する事例
事例 №44 (32号)
 1 駅のホールは、刑法130条にいわゆる看守があるとはいえない
 2 軽犯罪法1条32号と鉄道営業法37条との間には一般法・特別法の関係はない
事例 №45 (32号)
  客引きの目的で駅前広場に立ち入る行為と軽犯罪法1条32号
事例 №46 (32号)
  1 勧誘・客引きなどの目的で無断で立ち入ることを禁じられた駅構内に同目的で
    立ち入る行為の違法性
  2 軽犯罪法1条32号と鉄道営業法37条との関係
  3 上記目的で駅構内に立ち入る行為と旅館の宿泊を勧誘する行為との罪数関係
事例 №47 (32号)
  駅構内に立入ったとの軽犯罪法1条32号、鉄道営業法37条違反の行為と鉄道地内で
  旅館宿泊の勧誘をしたとの鉄道営業法違反行為との関係
事例 №48 (32号)
  軽犯罪法1条32号違反の罪と鉄道営業法37条違反の罪との罪数関係
事例 №49 (32号)
  鉄道営業法35条及び同法37条の罪と軽犯罪法1条32号の罪との罪数関係
事例 №50 (32号)
  軽犯罪法1条32号違反の罪と鉄道営業法35条違反の罪との罪数関係


事例 №51 (32号)
  軽犯罪法1条32号違反の罪と鉄道営業法35条違反の罪との罪数関係
事例 №52 (32号)
  軽犯罪法1条32号の適用が認められた事例
事例 №53 (32号)
  通話以外のデイトクラブの宣伝ビラ等の散布(配布)目的をもってする公衆電話ボックスへの
  立入り行為と軽犯罪法(1条32号)違反罪の成立
事例 №54 (32号)
  軽犯罪法1条32号のいわゆる「入ることを禁じた場所」としての駅構内の意義
事例 №55 (32号)
  刑事特別法と軽犯罪法との関係
事例 №56 (32号)
  国立公園で・る国有林野内への物品販売その他の営業行為を行うための立ち入りを
  禁止する処分に反し右土地内に立ち入る行為は、軽犯罪法1条32号前段の罪を構成し
  可罰的違法性がないとはいえない
事例 №57 (32号)
  自然公園への立入行為と軽犯罪法
事例 №58 (32号)
  いわゆる「原爆ドーム」は刑法130条所定の「建造物」に当たるか
事例 №59 (33号)
  軽犯罪法1条33号の法意
事例 №60 (33号)
  1 軽犯罪法の意義
  2 軽犯罪法1条33号にいわゆる『みだりに』の意義
  3 軽犯罪法1条33号にいわゆる『他人の工作物』の範囲
事例 №61 (33号)
  軽犯罪法1条33号前段の規定の合憲性
事例 №62 (33号)
  刑法260条・261条にいわゆる『損壊』と軽犯罪法1条33号との関係
事例 №63 (33号)
  軽犯罪法1条33号前段の規定は憲法19条・21条に違反しない
事例 №64 (33号)
  軽犯罪法1条33号前段に該当する一事例
事例 №65 (33号)
  1 軽犯罪法1条33号にいう『みだりに他人の家屋その地の工作物にはり札をし』
    の各用語の意義
  2 同規定の保護法益
  3 同規定の合憲性
事例 №66 (33号)
  軽犯罪法1条33号にいうみだりに他人の工作物にはり札をしたと認められる事例
事例 №67 (33号)
  労働争議における闘争手段としてのビラ貼り行為につき建造物損壊および
  軽犯罪法違反の成立を否定した事例
事例 №68 (33号)
  1 いわゆる闘争手段としてのビラ貼り行為が、建造物損壊罪・器物損壊罪を構成しない
    ものとされた事例
  2 建造物損壊罪並びに暴力行為等処罰ニ関スル法律違反の罪
 (器物損壊を内容とする)として起訴された事実を軽犯罪法1条33号に該当する事実と
  認定する場合と公訴の時効
事例 №69 (33号)
  1 軽犯罪法1条33号違反の罪は親告罪か
  2 いわゆるビラはり行為は軽犯罪法1条33号に該当するか
  3 いわゆるビラはり行為の軽犯罪法1条33号違反の罪ついて同法2条により刑を免除した事例
事例 №70 (33号)
  軽犯罪法1条33号にいう『みだりに』の意義


事例 №71 (33号)
  いわゆる闘争手段としてのビラ貼り行為が刑法260条にいう建造物の損壊に該当する
   とされた事例
事例 №72 (33号)
  管理者の承諾を受けないで電柱にビラ1枚を貼付した事案につき、刑の免除を言い渡した事例
事例 №73 (33号)
  争議行為としてのビラ貼り行為につき、建物の効用侵害が未だ建造物損壊罪の程度に
  達しないとして、軽犯罪法1条33号違反の罪のみの成立を認めた事例
事例 №74 (33号)
  国鉄駅構内の電車線引止柱に管理者の承諾を得ずにビラ1枚を貼付した事案につき、
  右行為は労働者の正当な行為の範囲内に・り、軽犯罪法1条33号にいう『みだりに』に・
  たらないとして無罪を言い渡した事例
事例 №75 (33号)
  軽犯罪法1条33号にいわゆる『みだりに』の意義
事例 №76 (33号)
  軽犯罪法1条33号前段に定める罪の構成要件
事例 №77 (33号)
  ビラ1枚を電柱に貼付した事案につき、軽犯罪法1条33号違反罪の成立を認めた事例
事例 №78 (33号)
  いわゆる闘争手段としてのビラ貼り行為が刑法260条の建造物損壊及び同法261条の
  器物損壊に該当するとされた事例
事例 №79 (33号)
   ビラ貼りについての軽犯罪法違反事件において、公訴・濫用の主張を排斥した事例
事例 №80 (33号)
   軽犯罪法1条33号にいう『みだりに他人の工作物にはり札をした』と認められない事例
事例 №81 (33号)
   2本の電柱に計4枚のビラを貼付した事案につき、その可罰的違法性を否定できないとして、
   高知県屋外広告物取締条例及び軽犯罪法違反の成立を認めた事例
事例 №82 (33号)
  軽犯罪法1条33号の『みだりに』の法意
事例 №83 (33号)
  1 軽犯罪法1条33号前段の『みだりに』の意義
  2 軽犯罪法1条33号前段の『はり札』の中に『政治ビラ』『政治的ビラ』は含まれるか
  3 ビラ貼りが軽犯罪法1条33号前段違反の罪に・たるとしたうえ、同2条を適用して刑を
    免除した事例
事例 №84 (33号)
  軽犯罪法1条33号前段と憲法21条1項
事例 №85 (33号)
  軽犯罪法1条33号前段の『みだりに』の意義
事例 №86 (33号)
  軽犯罪法1条33号の合憲性
事例 №87 (33号)
  電柱6本にビラ15枚を貼った行為に刑の免除を言い渡した事例
事例 №88 (33号)
  歌碑を汚損した行為は軽犯罪法1条33号後段の『工作物を汚す罪』にあたるのではなく
  器物損壊罪にあたるとされた事例
事例 №89 (33号)
  埼玉県屋外広告物条例(昭和25年条例2号)及び軽犯罪法1条33号による電柱の
  はり紙の規制と憲法21条
事例 №90 (33号)
  軽犯罪法1条33号にいう『みだりに』の解釈について
事例 №91 (33号)
  電柱に『はり紙』をした行為に対し改正前の埼玉県屋外広告物条例の
  罰則(15条1号・4条3項)及び軽犯罪法1条33号前段を
 適用したことが、いずれも憲法21条1項に違反しないとされた事例
事例 №92 (33号)
  公訴・濫用に当たらないとされた事例——京都御所築地塀落書事件
事例 №93 (33号)
  街路灯支柱に既に貼ってあった古いビラの上に重ねてビラを貼る行為は
  軽犯罪法1条33号前段の『みだりに工作物にはり札をする』ことに当たるか
事例 №94 (33号)
  塀に塗料で多数の落書きをしたことが(軽犯罪法1条33号違反でなく)
  器物損壊罪に当たるとされた事例
事例 №95 (33号)
  電柱に立看板を紙ひもで結びつけた行為が軽犯罪法1条33号前段の『はり札をした』
  に当たらないとされた事例
事例 №96 (33号)
  大赦令により赦免される罪が数個の行為から成り、それらが包括的一罪を構成する
  場合に、その一部の行為が同時に赦免されない他の罪名に触れるため赦免されない以上、
  その赦免されない行為と包括的一罪を構成するその余の行為も赦免されないとした事例
事例 №97 (33号)
  43件のビラ貼り行為の軽犯罪法違反事件につき、1件につき拘留4日、
  合計172日の拘留刑に処した原判決の量刑が重過ぎて不当であるとして破棄された事例
事例 №98 (33号)
  ビラ貼り21件に犯意の継続がないときは、包括一罪ではなく、併合罪である。
事例 №99 (33号・2条)
  2回にわたり壁にビラ合計25枚を貼り付けた事案につき、刑の免除が言い渡された事例
事例 №100 (34号)
  軽犯罪法1条34号違反罪の主体

 条文(軽犯罪法)

 判例索引

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