交通事故捜査Ⅲ




3訂版・交通事故捜査3
−その他の刑法犯編−

A−5判・全140頁  平成15年11月24日発行
本体価格1200円+税

元函館地方検察庁検事正 窪田四郎
元青森地方検察庁検事正 福原暎治
明治学院大学教授    渡辺咲子 共著
(執筆当時)

 本書の改訂から6年が経過した。その間に交通事故事犯、特に悪質な事犯に対する被害者・その遺族をはじめとする国民の見方はますます厳しくなり、納得できる捜査公判が求められている。………このような中、平成13年には、危険運転致死傷罪を新設し、軽微な業務上過失傷害事案については、刑を免除する規定を設けた刑法の一部改正や悪質な交通違反についての法定刑を引き上げる等の道路交通法等の一部改正などの重要な法改正がなされた。本書では、業務上過失致死傷罪(第Ⅰ巻)と危険運転致死傷罪(第Ⅱ巻)を除いた交通事件に関係する刑法犯について解説した。本書が、日夜困難な交通捜査に当たっておられる捜査官のお役に立つことが少しでもできれば幸いである。

【本書の特色】
① 業務上過失致死傷事件又は危険運転致死傷事件の背後にあるかもしれない刑法犯罪について、捜査官が広い視野をもって交通事件の捜査処理に当たれるように、幅広く刑法犯について解説を行った。
② 「1 解説」では、犯罪の構成要件について、わかりやすく詳細な解説を重要判例とともに行った。
③ 「3 犯罪事実記載例」では、実務に役立つ犯罪事実の記載例を豊富に掲載。
④ 3訂版から新しく各罪名の最初の見出し部分に「捜査の着目点」を設けた。捜査の現場で何を注意しなければならないのか、すぐわかる。
⑤ 「捜査の着目点」を念頭に置きながら「1 解説」・「2 捜査のポイント」・「3 犯罪事実記載例」を読むことで、多忙な実務家が、短時間で犯罪の構成要件を理解できる。今までの解説書には無い、すぐ見て理解できるわかりやすいレイアウト。
⑥ 解説部分のレイアウトでは、「段落」の上げ下げや「小見出し」を上手に利用することで、文章の内容が理解しやすい(弊社の実務書の特徴)。多忙な実務家にとても便利。
【本書の内容】
第1節 公務執行妨害の罪
〈条 文〉刑法第95条
 【捜査の着目点】
 1 解 説
 2 捜査のポイント
 3 公務執行妨害罪の犯罪事実記載例
  事例1《警察官を車内にひきずり込んで暴行を加える》
  事例2《車両の停止を求めた警察官に衝突させる》
  事例3《開放したパトカーのドアに衝突させる》
  事例4《取調べ中の警察官に暴行を加える》
  事例5《暴走族取締り中の警察官に暴行を加える》

第2節 犯人・匿・証拠隠滅の罪
〈条 文〉刑法第103条,第104条,第105条
 第1項 犯人・匿・隠避
  【捜査の着目点】
  1 解 説
  2 捜査のポイント
   ① 身代わりの可能性
   ② 身代わり事件の捜査のポイント
  3 犯人・匿罪の犯罪事実記載例
   事例1《同乗中の妻が夫の身代りになる》
   事例2《無免許運転中の犯人と運転席を入れ替る》
   事例3《謝礼の提供を条件として身代りをさせる》
   事例4《無免許運転の発覚をおそれ,同僚に駐車違反の身代りをさせる》
 第2項 証拠隠滅
  【捜査の着目点】
  1 解 説
  2 捜査のポイント
  3 証拠隠滅罪の犯罪事実記載例
   事例《車両の血液等を流失させる》

第3節 往来を妨害する罪
〈条 文〉刑法第124条,第125条,第126条,第127条,第128条,第129条
 第1項 往来妨害
  【捜査の着目点】
  1 解 説
  2 捜査のポイント
  3 往来妨害罪の犯罪事実記載例
   事例《自動車など障害物を路上に放置する》
 第2項 電汽車往来危険
  【捜査の着目点】
  1 解 説 
  2 捜査のポイント
  3 電汽車往来危険罪の犯罪事実記載例
   事例《軌道上に自動車を放置する》
 第3項 電汽車転覆
  【捜査の着目点】
  1 解 説
  2 捜査のポイント
  3 電汽車転覆罪の犯罪事実記載例
   事例《軌道上に自動車を放置し列車を脱線転覆させる》
 第4項 過失往来妨害
  【捜査の着目点】
  1 捜査の要点
  2 捜査のポイント
  3 過失往来妨害罪の犯罪事実記載例
   事例1《踏切の警報機の吹鳴に気づかず車両を進入させ電車を脱線させる》
   事例2《踏切内でエンジンストップをおこし自動車を電車に衝突させる》
   事例3《踏切渡木外に自動車を落輪させ電車に接触させる》
   事例4《踏切内で電車と衝突し,電車運転者や乗客を死傷させた》

第4節 文書偽造の罪
〈条 文〉刑法第155条,第157条,第158条,第159条,第161条
 第1項 有印公文書偽造罪・偽造有印公文書行使罪
  【捜査の着目点】
  1 解 説 
  2 捜査のポイント
  3 有印公文書偽造罪・偽造有印公文書行使罪の犯罪事実記載例
   事例《友人の免許証の写真を自己の写真に貼りかえ,警察官に提示する》
 第2項 公正証書原本不実記載罪・不実記載公正証書原本等行使罪
  【捜査の着目点】
  1 解 説
  2 捜査のポイント
  3 公正証書原本不実記録・不実記録原本等行使罪の犯罪事実記載例
   事例1《自動車の新規登録に当たって,「使用者」及び「使用の本拠の位置」をいつわって公正証書の原本として用いられる電磁的記録に不実の記録をさせて行使する》
   事例2《自動車の虚偽の移転登録をするため,使用の本拠の位置をいつわって公正証書の原本として用いられる電磁的記録に不実の記録をさせて行使する》
   事例3《自動車の継続検査に当たって,他の自動車の車台番号を流用し,車台番号をいつわって公正証書の原本として用いられる電磁的記録に不実の記録をさせて行使する》
 第3項 免状等不実記載罪・不実記載免状等行使罪
  【捜査の着目点】
  1 解 説
  2 捜査のポイント
  3 免状等不実記載罪・不実記載免状等行使罪の犯罪事実記載例
   事例1《他人になりすまして試験を受けて合格し,自動車運転免許証の交付を受ける》
   事例2《他人の氏名を冒用した免許証で更新をうける》
 第4項 有印私文書偽造罪・偽造有印私文書行使罪  
  【捜査の着目点】
  1 解 説
  2 捜査のポイント
  3 有印私文書偽造罪・偽造有印私文書行使罪の犯罪事実記載例
   事例1《交通事件原票「供述書」欄に他人の氏名を署名・指印し警察官に提出する》
   事例2《「交通切符」に他人氏名を冒用し警察官に提出する》

第5節 印章偽造の罪
〈条 文〉刑法第167条,第168条
 【捜査の着目点】
 1 解 説 
 2 捜査のポイント
 3 私印偽造罪・私印不正使用罪の犯罪事実記載例
 事例1《実兄の氏名を詐称して供述調書に署名し提出する》
 事例2《無免許・車検切れ車両運転中に発覚(前例と同じ)》

第6節 殺人の罪
〈条 文〉刑法第199条,第203条
 【捜査の着目点】
 1 解 説 
 2 捜査のポイント
 3 殺人罪の犯罪事実記載例
  事例1 窃盗・殺人・殺人未遂《自動車盗犯人が不特定多数の歩行者の通行する道路を暴進し死傷させる》
  事例2 無免許運転・殺人未遂・公務執行妨害《乗用車にしがみつく警察官を振り落とし傷害を負わせる》
  事例3 窃盗・殺人未遂《開扉したドアにぶら下った車の所有者をふり落とし死亡させる》
  事例4 業務上過失傷害・殺人未遂《交通事故によりボンネット上にはね・げられた被害者をふり落とす》

第7節 傷害の罪
〈条 文〉刑法第204条,第205条
 【捜査の着目点】
 1 解 説 
 2 捜査のポイント
 3 傷害罪の犯罪事実記載例
  事例1《後方から自動車を衝突させ転倒させる》
  事例2《補助ウインカーにぶら下っている被害者をふり落す》

第8節 遺棄の罪
〈条 文〉刑法第217条,第218条,第219条
 第1項 単純遺棄
  【捜査の着目点】
  1 解 説
  2 捜査のポイント
  3 遺棄罪の犯罪事実記載例
   事例《泥酔者をみて他所へ放置》
 第2項 保護責任者遺棄
  【捜査の着目点】
  1 解 説
  2 捜査のポイント
  3 保護責任者遺棄罪の犯罪事実記載例
   事例《交通事故の発覚をおそれ救護せず他所へ放置する》

第9節 詐欺の罪
〈条 文〉刑法第246条
 【捜査の着目点】
 1 解 説
 2 交通事故を装った保険金詐欺事件の捜査の要点
  ① 交通事犯に関する保険金詐欺の特徴
  ② 交通事犯の保険金詐欺の態様
 3 捜査のポイント
 4 交通事故を仮装して保険金を騙取する詐欺罪の犯罪事実記 載例
  事例1《受傷の事実を仮装して診断報酬名下に金員を騙取する》
  事例2《交通事故を偽装し自動車保険金を騙取する》
  事例3《休業損害証明書を偽造行使し,受傷事実等をいつわって休業損害保険金等を騙取する》

第10節 公用文書等毀棄の罪
〈条 文〉刑法第258条
 【捜査の着目点】
 1 解 説
 2 捜査のポイント
 3 公用文書毀棄罪の犯罪事実記載例
  事例1《交通切符を引き裂く》
  事例2《速度測定記録紙を飲みこむ》

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