交通事故捜査Ⅱ




3訂版増補・交通事故捜査2
−危険運転致死傷編−

A−5判・全140頁  平成17年5月21日発行
本体価格1200円+税

法務省刑事局刑事課長 野々上尚編著
(執筆当時)

3訂版・はしがき
 平成13年12月25日、刑法の一部が改正され「危険運転致死傷罪」が施行された(平成13年法律第138号)。
 従来、交通事故の捜査では業務上過失致死傷罪を適用してきたが、「危険運転致死傷罪」が施行されたことにより、悪質な運転行為を行い、その結果、人を死傷させた場合には「危険運転致死傷罪」が適用されることとなった。危険運転致死傷罪については、既に近代警察社から「危険運転致死傷罪の犯罪事実記載例」(平成14年2月16日発行)を出版しているが、本書は、危険運転致死傷罪の施行後1年を経過し、本罪の事例も相当程度集積されてきたことから、実際の起訴・裁判事例等を検討の上、捜査公判における留意点、犯罪事実の記載例等をまとめたものであり、「危険運転致死傷罪の犯罪事実記載例」の補正版という位置づけで本書を公刊するものである。本書が、日夜困難な交通捜査に当たっておられる捜査官のお役に立つことが少しでもできれば幸いである。

3訂版増補・はしがき
 平成16年12月1日発行、第161回国会において、刑法等の一部を改正する法律が成立し、同17年1月1日から施行されている。
 同法律においては、危険運転致死傷罪の法定刑を10年以下の有期懲役から15年以下の有期懲役とすることとされたことから、必要最小限の補正をし、増補版として本書を公刊するものである。

【本書の特色】
① 「第1章 総説」では、実務家が危険運転致死傷罪の捜査を行うにあたって知っていなければならない本罪の創設経緯、罪名及び罰条、保護法益、適用範囲、道交法との関係、捜査公判の各段階における本罪と業務上過失致死傷罪との関係、暴行罪・傷害罪・殺人罪との関係などについて解説。
② 「第2章 危険運転致死傷罪の犯罪事実記載例と捜査の要点」では、各節毎に事故を類型化して解説を行った(アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態での走行・進行の制御が困難な高速度での走行・技量未熟での走行・妨害目的での運転・赤色信号の殊更無視)。
③ 各節の最初の部分に「捜査の着目点」を設けた。捜査の現場で何を注意しなければならないのか、すぐわかる。
④ 「捜査の着目点」を念頭に置きながら「1 解説」・「2 典型例」・「3 実際の事案」・「4 捜査のポイント」・「5 犯罪事実記載の留意点」・「6 犯罪事実(要旨)の記載例」を読むことで、多忙な実務家が、短時間で危険運転致死傷罪の内容を理解できる。
⑤ 今までの解説書には無い、すぐ見て理解できるわかりやすいレイアウト。
【本書の内容】
第1章 総 説
 第1節 危険運転致死傷罪の創設経緯
 第2節 罪名及び罰条
 第3節 適 用 状 況
 第4節 保 護 法 益
 第5節 適 用 範 囲
 第6節 本罪と道路交通法違反との関係
 第7節 捜査公判の各段階における本罪と業務上過失致死傷罪
    (本罪の捜査処理の特徴を含む)
 第8節 本罪と暴行罪,傷害罪,殺人罪との関係
 第9節 留意点

第2章 危険運転致死傷罪の犯罪事実記載例と捜査の要点
 第1節 アルコールの影響により正常な運転が困難な状態での走行
  1 解説 2 典型例 3 実際の事案 4 捜査のポイント 
  5 犯罪事実記載の留意点 6 犯罪事実(要旨)の記載例
  事例1 《仮眠状態に陥った事案》
  事例2 《前方注視及び運転操作が困難な状態での事故》

 第2節 薬物の影響により正常な運転が困難な状態での走行事故事例と捜査の要点
  1 解説 2 典型例 3 実際の事案 4 捜査のポイント 
  5 犯罪事実記載の留意点 6 犯罪事実(要旨)の記載例
  事例《前方注視及び運転操作が困難な状態での事故》

 第3節 進行の制御が困難な高速度での走行事故事例と捜査の要点
  1 解説 2 典型例 3 実際の事案 4 捜査のポイント 
  5 犯罪事実記載の留意点 6 犯罪事実(要旨)の記載例
  事例《進行を制御することが困難な高速度での事故》

 第4節 技量未熟での走行事故事例と捜査の要点
  1 解説 2 典型例 3 実際の事案 4 捜査のポイント 
  5 犯罪事実記載の留意点 6 犯罪事実(要旨)の記載例
  想定事例

 第5節 妨害目的での運転による走行事故事例と捜査の要点
  1 解説 2 典型例 3 実際の事案 4 捜査のポイント 
  5 犯罪事実記載の留意点 6 犯罪事実(要旨)の記載例
  事例1《割り込み事案》 
  事例2《妨害事案》

 第6節 赤色信号の殊更無視による走行事故事例と捜査の要点
  1 解説 2 典型例 3 実際の事案 4 捜査のポイント 
  5 犯罪事実記載の留意点 6 犯罪事実(要旨)の記載例
  事例1《パトカーの追尾を振り切ろうとした事案》
  事例2《赤色信号で・ることを一切意に介さないで交差点に進入した事案》
  事例3《直前に起こした事故の発覚を恐れて逃走し本罪に及んだ事案》
  事例4《警笛を吹鳴しながら交差点に進入した事案》

 第7節 少年事件について

参考資料1〜9
判例索引

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