公選法上の連座訴訟の解説−裁判例の概観−




公選法上の連座訴訟の解説−裁判例の概観−

A−5判・全440頁 平成16年6月7日発行

本体価格2,762円+税

法務省刑事局刑事課長(執筆当時) 野々上 尚 編著
第1章 連座制の概要
第2章 連座制の合憲性に関する論点
第3章 法律上の論点
第4章 事実認定の場面における論点
第5章 訴訟上・法律上の問題点
★収録裁判例の事案の概要 №1〜№30

・組織的選挙運動管理者等
・組織により行われる選挙運動
・意思を通じて
・管理者性
・組織性
・選挙運動性
・秘書
・親族
・相当の注意
・おとり
・寝返り
・公民権停止
・訴権の濫用など

 本書は,平成6年の公職選挙法改正以降に提起された,いわゆる連座訴訟のうち,裁判所の判決が平成16年5月末までに確定した事例で,争点について裁判所が判断を示したものを抽出し,その整理を試みたものです。
 平成6年の2度にわたる公職選挙法の改正により,連座制の対象者の拡張,連座の効果の拡充などが行われ,連座制は大幅に強化されることとなりました。
その後,平成16年5月末日に至るまでの間に,検察官が提起した連座訴訟の件数は112件,同日までに連座制の適用により失職に至ったケースは9件に上っており,連座制が選挙の公正を確保する上で大変重要な役割を果たしていることがご理解いただけると思います。
 本書では,連座制の概要について若干の解説を行った上,連座訴訟に関する公職選挙法の規定に即して,その合憲性,法律上の問題点,事実認定の場面における問題点,訴訟法上の問題点などについて,裁判所の判断内容に照らし,著者らにおいて若干の整理や検討を試みました。また,対象とした事例の事実関係について,その概要を紹介し,本書がいわば事例に関する資料的な側面をも有することとなるよう心掛けました。
連座訴訟に携わる実務家や,選挙違反事件の捜査・公判等に携わる実務家の執務の参考になれば幸いです。



【本書の特色】
① 連座制の導入時から現行連座制にいたるまでの沿革を解説するとともに,
  現在の運用状況を解説。
② 本文の解説では,裁判例で争われた論点をわかりやすく解説するとともに,
  それぞれの論点が有機的に結びついて理解できるように全ての参照箇所に参照頁を
  掲載した。たいへん解説がわかりやすい。
③ 本文の解説で引用された裁判例については,「収録裁判例の事案の概要」に詳細な内容を
  掲載。「収録裁判例の事案の概要」では,30事案を掲載。
④ 巻末の参考資料の「収録裁判例別論点一覧」では,収録裁判例がどのような論点で
  争われたのか整理し,本文の解説のどこで引用されたのかわかるようにした。
  判例索引としても利用できる。

  第1章 連座制の概要
第1節 連座制の沿革
第1項 連座制の導入
第2項 制度改革の沿革
1 昭和9年法律第49号による改正
2 昭和20年法律第42号による改正
3 公職選挙法(昭和25年法律第100号)の制定
4 昭和29年法律第207号による改正
5 昭和37年法律第112号による改正
6 昭和50年法律第63号による改正
7 昭和56年法律第20号による改正
8 昭和57年法律第81号による改正
第3項 平成6年法律第2号及び第105号による連座制の拡大・強化
1 平成6年法律第2号による改正(従来型連座制の拡大・強化)
 ①連座対象者としての親族の範囲の拡大等
 ②連座対象者としての秘書 
 ③連座制の効果としての立候補禁止制度の導入
2 平成6年法律第105号による改正(新連座制の導入)
 ①新連座制の導入  ②新連座制の制度目的・趣旨
3 施行日及び適用関係
 ①衆議院議員選挙 
 ②参議院議員選挙
 ③地方公共団体の議会の議員及び長の選挙
4 選挙犯罪行為に対する適用関係
第2節 現行連座制の概要及び運用状況
第1項 概 説
第2項 各連座類型の概要
1 連座の類型
2 連座類型別の相違点
 ①連座刑種 ②免責事由 ③免責効果
   〈連座制対比表〉
第3項 平成6年改正後の拡大連座制運用の状況
1 連座訴訟の提起事例及び件数
2 選挙の種別内訳
3 連座対象者別の内訳

  第2章 連座制の合憲性に関する論点
1 従来の連座制の合憲性等に関する判例
2 拡大連座制とその本質についての議論
3 拡大連座制の合憲性に関する主な最高裁判例の流れ
4 その他の憲法上の論点について
  ①憲法14条関係  ②憲法31条関係
 〈裁 判 例〉

  第3章 法律上の論点
第1節 組織的選挙運動管理者等の解釈に関する論点
1 組織的選挙運動管理者等に係る連座制の概観
2 「組織的選挙運動管理者等」の意義について
3 「組織により行われる選挙運動」
 ①組織性  ②選挙運動
4 「意思を通じて」
5 管理者性
 〈裁 判 例〉
第2節 秘書の解釈に関する論点
1 法251条の2に規定する連座制の概観
2 秘書の解釈について
 〈裁 判 例〉
第3節 「おとり」「寝返り」に関する規定の準用の可否
 〈裁 判 例〉
第4節 裁量棄却の可否
 〈裁 判 例〉
第5節 対象となる公職選挙法違反事件に関する主張の可否
 〈裁 判 例〉
 
  第4章 事実認定の場面における問題点
第1節 組織的選挙運動管理者等に関する問題点
1 「組織」について
2 「選挙運動」について
3 「意思を通じ」について
4 管理者性について
 〈裁 判 例〉
第2節 親族に関する問題点
 〈裁 判 例〉
1 「意思を通じて」について
2 選挙運動性について
第3節 秘書に関する問題点
1 秘書性について
2 選挙運動性について
 〈裁 判 例〉
第4節 相当の注意に関する問題点
 〈裁 判 例〉

  第5章 訴訟上・手続上の問題点
第1節 被告の公民権停止効の発生との関係
 〈裁 判 例〉
第2節 複数の連座事由や連座対象者が存在する場合の相互
   の関係について
 〈裁 判 例〉
第3節 その他の論点
1 訴権の濫用の成否
2 証拠排除の成否
3 請求認諾の可否
 〈裁 判 例〉



    【収録裁判例の事案の概要】
事案 №1
仙台高等裁判所民事第1部平成7年8月29日判決(請求認容)
事案 №2
仙台高等裁判所第2民事部平成7年10月9日判決(請求認容) 
事案 №3
広島高等裁判所松江支部平成7年10月27日判決(請求認容)
事案 №4
大阪高等裁判所第2民事部平成7年11月7日判決(請求認容)
事案 №5
東京高等裁判所第7民事部平成8年1月16日判決(請求認容)
事案 №6
東京高等裁判所第14民事部平成8年1月18日判決(請求認容)
最高裁判所第2小法廷平成8年6月17日判決(上告棄却)
事案 №7
福岡高等裁判所第3民事部平成8年2月15日判決(請求棄却)
最高裁判所第1小法廷平成8年7月18日判決(上告棄却)
事案 №8
高松高等裁判所第4部平成8年5月31日判決(請求認容)
最高裁判所第3小法廷平成8年11月26日判決(上告棄却)
事案 №9
仙台高等裁判所第3民事部平成8年7月8日判決(請求認容)
最高裁判所第1小法廷平成9年3月13日判決(上告棄却)
事案 №10
大阪高等裁判所第4民事部平成8年9月27日判決(請求認容)
事案 №11
高松高等裁判所第2部平成8年11月13日判決(請求認容)
最高裁判所第3小法廷平成9年7月15日判決(上告棄却)
事案 №12
福岡高等裁判所第1民事部平成9年8月7日判決(判決認容)
事案 №13
高松高等裁判所第4部平成9年8月26日判決(請求認容)
最高裁判所第1小法廷平成10年2月12日判決(上告棄却)
事案 №14
東京高等裁判所第3民事部平成9年9月24日判決(請求認容)
事案 №15
東京高等裁判所第7民事部平成9年10月7日判決(訴え却下)
最高裁判所第2小法廷平成10年8月31日判決(上告棄却)
東京高等裁判所第7民事部平成9年10月7日判決(請求棄却)
最高裁判所第2小法廷平成10年7月3日判決(上告棄却)
事案 №16
大阪高等裁判所第12民事部平成10年5月25日判決(請求認容)
最高裁判所第3小法廷平成10年11月17日判決(上告棄却)
事案 №17
東京高等裁判所第21民事部平成11年3月11日判決(請求認容)
事案 №18
名古屋高等裁判所金沢支部第1部平成11年4月12日判決(請求認容)
最高裁判所第1小法廷平成11年11月25日(上告棄却)
事案 №19
福岡高等裁判所第3民事部平成11年10月6日判決(請求認容)
事案 №20
福岡高等裁判所第1民事部平成12年1月20日判決(請求認容)
最高裁判所第2小法廷平成12年6月16日判決(上告棄却)
事案 №21
福岡高等裁判所第5民事部平成12年8月8日判決(請求認容) 
事案 №22
福岡高等裁判所第1民事部平成12年8月29日判決(請求認容)
最高裁判所第3小法廷平成13年1月23日決定(上告不受理)
事案 №23
東京高等裁判所第4民事部平成13年1月25日判決(請求認容)
事案 №24
福岡高等裁判所第2民事部平成13年2月15日判決(請求認容)
事案 №25
福岡高等裁判所宮崎支部平成14年1月25日判決(請求認容)
最高裁判所第一小法廷平成14年6月6日判決(上告棄却)
事案 №26
福岡高等裁判所第5民事部平成14年4月26日判決(請求認容)
最高裁判所第二小法廷平成14年11月15日判決(上告棄却)
事案 №27
福岡高等裁判所第4民事部平成15年10月31日判決(請求認容)
事案 №28
名古屋高等裁判所民事第4部平成15年12月2日判決(請求認容)
事案 №29
名古屋高等裁判所金沢支部第1部平成15年12月10日判決(請求認)
事案 №30
名古屋高等裁判所金沢支部第1部平成16年2月20日判決(請求認)

     【参 考 資 料】
1 公職選挙法条文(抄)
2 連座制の根拠条文について
 ①総括主宰者,出納責任者等の選挙犯罪による公職の候補者等であった者の
当選無効及び立候補禁止関係(251条の2関係)
 ②組織的選挙運動管理者等の選挙犯罪による公職の候補者等であった者の
当選無効及び立候補の禁止(251条の3関係)
3 参考判例(要旨)
 最高裁判所昭和30年2月9日大法廷判決
 最高裁判所昭和37年3月14日大法廷判決
 最高裁判所昭和37年3月14日大法廷判決
 最高裁判所昭和41年6月23日第一小法廷判決
 最高裁判所昭和43年12月4日大法廷判決
4 収録裁判例別論点一覧

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