改訂版 外国人犯罪捜査の手引き




〈改訂版〉外国人犯罪捜査の手引き

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★今までにない視点から外国人犯罪を解説した画期的な実務書★

司法通訳人
芝浦工業大学講師
法学博士       萬羽ゆり著

A−5判・全330頁
本体価格2,300円+税

第1編 外国人犯罪の捜査
第2編 外国人犯罪の事例解説
第3編 韓国事情アラカルト
★入管法改正★
★外国人登録法の廃止★
★外国人識別情報の提供★
★人身売買罪の規定に対応★
★テロの未然防止に関する行動計画による旅館業法の一部改正★
★身上確認の方法★
★旅券の見方★
★領事館通報★
★通訳人の確保★
★外国人被疑者の取調べ方法★
★退去強制手続との関係★
★入管行政の歴史★
★入管法★
★売春防止法★
★職業安定法★
★旅館業法★
★風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律★
★刑法★
★銀行法★
★韓国の取調べの可視化★
★入管法適用条文罰条一覧★

 本書を発行してから3年が経過し、その間に経済のグローバル化のみならず犯罪もグローバル化してきた。時代背景に伴い出入国管理及び難民認定法も数次の改正がなされ、刑法には人身売買罪が新設されるなどした。そこで今回の改訂にあたり、入管法改正と外国人登録法の廃止についての解説、外国人識別情報の提供についての解説、テロの未然防止に関する行動計画による旅館業法の一部改正についての解説を加え、さらに刑法の人身売買罪の規定にも対応させ、巻末に「入管法適用条文罰条一覧」を掲載した。また、日本においては2009年5月から裁判員裁判制度が開始されたが、韓国においては2008年1月1日から国民参与法が施行され国民が刑事裁判に参与し、さらに、現在日本で活発に論議されている「取調べの可視化」について韓国では2008年1月1日から施行されており、既に裁判例も出ているので韓国における取調べの可視化(録音・録画)の実施状況なども紹介することとした。
【本書の特色】
① 第1編は、外国人犯罪捜査について主に法律の手続き的側面から解説。第2編は、外国人犯罪の代表的な事例について解説。第3編は、日韓の風土や文化、社会制度を比較しながら外国人犯罪を解説。
② 外国人犯罪は、入管法・条約・刑訴法・刑法・特別法の理解が欠かせないが、本書では複雑で難解な法律の解説を整理し、有機的・立体的に結びついて理解できるように参照箇所に参照頁を掲載。
③ 本文の解説中の必要箇所に「★まめ知識★」を設けて、本文の解説に関連した資料を掲載。
④ 日韓で教育を受け、司法通訳人として活躍し、日韓の社会制度や文化に精通した著者ならではの客観的な分析と解説。

〈第1編 外国人犯罪の捜査〉
第1章 外国人犯罪の基礎 
 第1節 外国人犯罪とは
 第2節 外国人犯罪の特色
 第3節 外国人犯罪の現況等 
 第4節 不法滞在外国人取締りの必要性
第2章 外国人被疑者、参考人等の取調べについて
 第1節 来日外国人事件の問題点
 第2節 来日外国人の身上確認
  ①身上確認の重要性 ②身上確認の方法
  ③旅券の見方
 ★まめ知識★−領事機関への通報−
 第3節 適正手続きの保障
  ①任意同行 ②職務質問 ③所持品検査
  ④逮捕手続 ⑤日本と韓国の相違
 ★まめ知識★−韓国の陳述拒否権告知確認書−
 第4節 弁解録取手続き
  ①一般的説明 ②弁護人選任権の告知
  ③権利告知の方法
 第5節 入国管理局への身柄引渡し
 第6節 勾留の要件
 第7節 外国人事件捜査の通訳
  第1項 通訳の意義
  第2項 通訳能力
  第3項 通訳の公平さと問題点 
  第4項 通訳人のあるべき姿
 第8節 要通訳事件の取調べ
  第1項 基本的留意事項
  第2項 捜査通訳人の留意点
  第3項 適正な通訳実現のために
  第4項 通訳がいる取調べ及び供述調書作成時の留意事項
  第5項 要通訳事件の取調べ要領
 ★まめ知識★ −韓国の通訳人−
 第9節 外国人供述調書の記載事項
 ★まめ知識★ −被疑者の身上特定を急ぐあまりに−
        −外国人の取調べ−
         ①指印について ②国籍・出身地等
         ③氏名表記 ④生年月日・住居
第3章 入管行政の歴史
 第1節 入管行政とは 
 第2節 入管行政の根拠
 第3節 不法入国の抑制 
 第4節 在日韓国人の処遇問題
 第5節 昭和50年代の入管行政
 第6節 難民条約への加入
 第7節 出入国管理令の改正
 第8節 昭和60年以降
 第9節 出入国管理特例法
 第10節 外国人登録法廃止へ
 第11節 公正な出入国管理
第4章 入管行政と刑事司法
 第1節 刑事訴訟手続と退去強制手続との関係
  1 競合した場合の優先関係
  2 退去強制手続と刑事手続が競合する場合の調整 
   ①調整規定
   ②刑事訴訟手続による身柄拘束と退去強制手続
  3 刑事訴訟手続と退去強制手続との競合
   ①逮捕・勾留(刑訴手続)が優先している場合
   ②退去強制手続が先行している場合
   ③退去強制事由に該当する外国人が、刑事事件の参考人あるいは証人となる場合
 ★まめ知識★ −仮放免制度(入管法54条)−
 第2節 刑事訴訟手続と退去強制手続の相互間の移行
  1 退去強制手続から刑事訴訟手続への移行 
  2 刑事訴訟手続から退去強制手続への移行
   ①警察段階 ②検察段階 ③裁判段階 
  3 刑事訴訟手続から退去強制手続への移行の現状等
 第3節 入管法65条の直送
 ★まめ知識★
   −逮捕・勾留という刑事訴訟手続から退去強制手続に移行
    した後、再び刑事訴訟手続に移行した事例(想定)−
第5章 退去強制手続の概要 
 第1節 退 去 強 制
  1 退去強制手続の特徴 
   ①退去強制手続と逮捕 ②退去強制手続と憲法
   ③許可状と令状 ④要急収容と緊急逮捕の違い
  2 退去強制手続の流れ
  3 退去強制事由
  4 出国命令制度
 第2節 検察官の処分と入管法64条の関係
  1 起訴便宜主義
  2 入管引渡しの手続
  3 公判上の留意点
 第3節 外国人たる刑事被告人の保釈と収容
  第1項 外国人被告人の保釈
  第2項 刑の執行等をめぐる問題
  第3項 控訴審で被告人に対する勾留状の発付を得ることと
   そのための方策
   1 控訴審での身柄確保
   2 日本人の被告人と外国人の被告人
  第4項 外国人と罰金刑の執行
   1 問題の所在
   2 罰金刑の一般的な執行方法
   3 出国を控えた外国人に対する罰金刑の執行方法
  第5項 退去強制により出国した外国人の供述調書の取調べ
   1 刑訴法321条1項2号前段 
   2 判例の立場
 ★まめ知識★ −出国準備期間として仮放免許可された場合−
第6章 国際化と捜査
 第1節 刑事手続の国際化
  第1項 国際捜査共助の必要性
  第2項 捜査共助
   1 捜査共助の嘱託と受託
   2 国際捜査共助等に関する法律
  第3項 外国における捜査活動
  第4項 捜査共助要請の手続
  第5項 韓国における現状
  第6項 受刑者移送
   1 国際受刑者移送法
   2 「F級」受刑者の増加と「刑を言い渡された者の移送に関する条約」
   3 刑を言い渡された者の移送に関する条約(受刑者移送条約)
   4 韓国の受刑者移送条約の加盟
  第7項 受刑者証人移送制度の新設 
   1 受刑者証人移送
   2 条約前置主義
   3 要件
 第2節 逃亡犯罪人引渡しと犯罪人引渡条約
  第1項 逃亡犯罪人引渡法
   1 逃亡犯罪人引渡法の制限事由
   2 手続の流れ
  第2項 出国確認の留保制度
   1 被疑者の国外逃亡事案
   2 国外に逃亡した被疑者
  第3項 日韓犯罪人引渡条約
   1 身柄の引取り・費用負担
   2 任意帰国の際の身柄の確保
   3 退去強制の際の身柄の確保
   4 日本が引渡し請求を行った場合
   5 日本が引渡しを受けた場合
〈第2編 外国人犯罪の事例解説〉
第1章 外国人被疑者の氏名表記
 1 外国人の氏名の読みと発音
 2 旅券(パスポート)
 ★まめ知識★
  −どうしてハングルでしか名前を書けない韓国人被疑者がいるのか?−
第2章 入 管 法
 第1節 概 説
 ★まめ知識★−組織犯罪撲滅のためには−
 第2節 営利目的で集団密航者を上陸させ、輸送した事例
 【犯罪事例】
  1 適用法条〈出入国管理及び難民認定法〉
    第74条1項、第2項、第74条の2第1項、第2項
    刑法第60条(共犯)
  2 解 説
 ★まめ知識★ −海里・方位の種類・入国と上陸−
 第3節 集団密航者を収受・輸送した事例
 【犯罪事例】
  1 適用法条 第74条の4第2項、第1項、刑法第60条
  2 解 説
 ★まめ知識★ −参考事例−
 第4節 集団密航した事例(不法入国)
 【犯罪事例】
  1 適用法条 第70条第1項第1号、第3条第1項第1号
  2 解 説
 第5節 偽造旅券で不法入国した事例
 【犯罪事例】
  1 適用法条
   第70条第1項第1号、第2項、第3条第1項第1号
  2 解 説
 【コラム】個人識別情報の提供
 第6節 資格外活動
 【犯罪事例】
  1 適用法条 第70条第1項第4号、第19条第1項第2号
  2 解 説
 ★まめ知識★ −在留資格一覧−
 第7節 在留期間更新不許可で不法残留した事例
 【犯罪事例】
  1 適用法条 第70条1項5号
  2 解 説 最決平17.4.21
 第8節 飲食店経営者が不法就労助長した事例
 【犯罪事例】
  1 適用法条 第73条の2第1項第1号、第76条の2
  2 解 説
 ★まめ知識★ −韓国の風俗産業−
 第9節 プロモーター関係者が不法就労助長した事例 
 【犯罪事例】
  1 適用法条 第73条の2第1項第3号、第76条の2
  2 解 説
第3章 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律
 第1節 禁止場所営業(エステ)の事例
 【犯罪事例】
  1 適用法条 第2条第6項第2号、第28条第2項、
   第49条第6号、施行条例第10条第1号
  2 解 説
 ★まめ知識★ −韓国の性売買あっ旋事例−
 【犯罪事例】
第4章 売春防止法
 第1節 売春の周旋の事例
 【犯罪事例】
  1 適用法条 第6条第1号(売春の周旋)
  2 解 説
 第2節 管理売春の事例
 【犯罪事例】
  1 適用法条 第12条(売春をさせる業)
  2 解 説
 第3節 場所の提供の事例
 【犯罪事例】
  1 適用法条 第11条第2項
  2 解 説
第5章 職業安定法
 第1節 有害業務(売春)を紹介した事例
 【犯罪事例】
  1 適用法条 第63条第2号(有害業務の紹介)
  2 解 説
第5章 旅館業法
 第1節 無許可営業の事例
 【犯罪事例】
  1 適用法条 第3条第1項、第10条第1号
  2 解 説
   ①民泊とはなにか
   ②旅券呈示義務(旅館業法の一部改正)
   ③民泊の利用者
第4章 刑 法 犯
 第1節 窃盗(すり)の事例
 【犯罪事例】
  1 適用法条 第235条、第243条、第60条(共犯)
  2 解 説
   ①すりの歴史
   ②組織の変遷
   ③韓国のすりの技と特徴
   ④すりの倫理と道徳
   ⑤集団すりの共犯者の役割
   ⑥すりの手口
   ⑦来日出張すり団
   ⑧韓国のすりの取締り
 第2節 偽装結婚した事例
 【犯罪事例】
  1 適用法条 第157条第1項、第158条第1項、第60条
  2 解 説
   ①婚姻の効力
   ②偽装結婚ブローカー
   ③偽装結婚と入管法上の手続及び戸籍の訂正
   ④偽装結婚の問題点
 ★まめ知識★ −韓国の「結婚仲介業の管理に関する法律−
 第3節 外国人女性を売買した事例
 【犯罪事例】
  1 適用法条 第226条の2第1項、第4項、第3項
  2 解 説
   ①人身取引の実態
   ②従前の法制度 
   ③刑法等の一部改正
 ★まめ知識★ −長野県に外国風俗産業が多いわけ−
第5章 銀 行 法
 第1節 地下銀行の事例
 【犯罪事例】
  1 適用法条 第61条、第4条1項
  2 解 説
 ★まめ知識★ −韓国の姦通罪−
〈第3編 韓国事情アラカルト〉
№1 朝鮮語の系統と歴史について
 ①大韓民国の基礎知識〈国勢〉
 ②朝鮮語の歴史 
 ③ハングルの基礎(日本語のカナとハングル対比表他)
 ④韓国語のローマ字表記法
№2 朝鮮語の方言について
№3 韓国の「姓」と「氏」
№4 韓国の戸籍制度(現行「家族関係登録制度」)
 ①旧「韓国戸籍法」
 ②現行「家族関係登録制度」について 
№5 韓国の改名手続き
 ①改名
 ②改名と戸籍訂正
 ③改名手続き
 ④改名許可手続き
 ⑤韓国の改名事由の制限
№6 韓国の住民登録証〈住民登録票〉
№7 韓国の国民参与裁判(国民の刑事裁判参与に関す
  る法律)
№8 韓国の軍隊(兵役の義務)
№9 韓国における外国人犯罪 
№10 韓国の不法就労問題
 ★まめ知識★ −韓国の外国人組織犯罪取締−
№11 韓国の犯罪被害者支援制度
 ★まめ知識★ −韓国の犯罪被害者保護−
№12 韓国の電子アンクレット
№13 韓国刑事訴訟法
№14 韓国における取調べの可視化
〈資料編〉
 ・入管法適用条文罰条一覧

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